快感があるから止められない。
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依存症とは「(何かを)やめられない病気」だ。
ビールや酒を止められない「アルコール依存症」、ギャンブルを止められない「ギャンブル依存症」。
デイトレを止められないのは、さしずめ「デイトレ依存症」か。
なぜ止められなくなるのかというと、そこにはなんらかの「興奮」と「快感」があるかららしい。
不安などがあると、その「興奮」と「快感」を求めて、「何か」を飲み食いしたり、「何か」をずっとやりつづけたりする。
このとき、脳の中で何が起こっているかというと、腹側被蓋野(ふくそくひがいや:VTA/中脳・脳幹)から、内側前脳束(ないそくぜんのうそく)を通って、側坐核(そくざかく)に電気信号が走る。
そして側座核に信号が伝わると、ドーパミンという脳内物質が放出される。
ドーパミンは脳を興奮させ、快感を生み出すため、それを続けようという「やる気」が起こる。
やる気が続くので、「やめられない」というわけだ。
因みに腹側被蓋野は、前頭葉ともつながっており、腹側被蓋野と側座核をつなぐ経路を「中脳辺縁系」(ちゅうのう・へんえんけい)と呼ぶ。
また腹側被蓋野と前頭葉をつなぐ経路を「中脳皮質系」(ちゅうのう・ひしつけい)と呼ぶ。
中脳辺縁系では、ドーパミンの過剰が起こりやすく、中脳皮質系では、逆にドーパミンの不足が起こりやすい。
VTA(腹側被蓋野)
アルコール依存症とは
依存症というのは、何かを飲み食いしたり、何かをやることによって、快感回路・報酬系を刺激することで起こる。
この場合、2通りの依存症がある。
一つ目は、飲み食いするものや、やること自体に快感があって、それを求める場合だ。
もう一つは、別の何かが原因の不安や苦痛、不快感などを打ち消すために、やる場合だ。
たとえば嫌なことがあったら酒を飲む。
酒を飲むことで前頭葉を麻痺させて、嫌な記憶を紛らわせてしまう。
これが繰り返されると、条件反射のようになっていく。
嫌なことがある・不快なことがある→酒を飲んで紛らわせる→また嫌なことがある→酒を飲んで紛らわせる→また嫌なことがある→酒を飲んで紛らわせると言うことを繰り返して、飲むのが当たり前になる。
これを「習慣性飲酒」と言う。
そして毎日のように酒を飲むようになると、だんだん耐性ができて、同じ量では酔えなくなる。
酒量が増え、飲む頻度も増えていく。
これが「アルコール依存症」だ。
物質依存・薬物依存の場合、さらに身体的症状が出てくる。
つまりアルコールの場合はさらに→脳や肝臓へのダメージが増える→脳や肝臓が壊れてしまう。
と言う風に続き、逆戻り出来ない。
肝臓はアルコール性肝炎になり、さらに肝硬変・肝がんにつながっている。
脳は、前頭葉がおかしくなり、制御が効かなくなっていく。
前頭葉はモノを考えたり、比較したり、欲望をコントロールする部分だけれど、アルコールによって前頭葉の働きが鈍り、アルコール性認知症になってしまう。