パニック売りは、理知的判断に勝る : 株で損する人は、ここがダメ！　株で損するのにはワケがあった

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更新日：2017/07/09

VC（ベンチャーキャピタル）の持ち分、約1,500万株を、野村證券に譲渡するというニュースで、20％を超える暴落となったソレイジア・ファーマ（4597）の株価。

ロックアップ解除によって、大株主の持ち分である、およそ4,000万株が一気に市場に放出されるのではないかというウワサで、株価は大きく下落した。

ところがこれはよくよく考えると、謎の下落であった。

と言うのも、ソレイジア・ファーマの上場前の大株主は、上場目論見書によると、伊藤忠商事とVCの2社で、それぞれおよそ2,000万株ずつだった。

伊藤忠商事は、現在、商社業界で一位を争う巨大商社で、毎年3,000億円程度の利益を計上している。

なので慌ててソレイジアの株を売却する必要に迫られているわけでもなかった。

巨大商社のビジネスモデルは、5年10年という中長期スパンで投資を行うものだから、VCのように、上場したら株を売却して儲けるというわけではない。

伊藤忠は中国やアジアビジネスを拡大しており、日本とアジアで医療ビジネスを展開するソレイジア・ファーマに出資しているということだった。

つまりソレイジアとは協業関係にあり、これから中国やアジアで医療ビジネスを拡げていくパートナーという位置づけだった。

なので伊藤忠商事のソレイジア株2,000万株が、近々市場に出てくるとは考えにくかった。

一方、VCの方も、数年前からソレイジア・ファーマに投資を行っており、初期の投資さえ回収できれば、あとは慌てて利益確定に走る必要も無かった。

公募価格は185円であり、実際の一株当たりの出資額は、もっともっと低いはずだから、500円前後の株価水準は、投資金額の3倍以上はあったはず。

なので持ち分の2,000万株のうち、3分の1の700万株ほど売却処分すれば、投資を全部回収できて、残りはいわゆる「恩株」状態になると考えられた。

実際、ロックアップ解除後に、VCは500万株を市場内処分しているから、その後も、株価を冷やさないようにして、売却処分を続けると言うことだったのかも知れない。

ところが、保有株の約1,500万株を野村證券に譲渡するというＩＲで、ソレイジア株は大幅下落し、パニック売り・狼狽売りが殺到して、ストップ安目前まで売り込まれた。

翌日からもおよそ一週間に渡って売り優勢になり、500円台だった株価は、350円を割る水準まで押し下げられた。

こういう場合、すぐに反発しなければ、どうしてもこうなっちゃうね。

大幅下落の日に損切りしておれば、3日後くらいからナンピンして反発を期待できる展開なんだが。

大株主の大量譲渡のニュースで、株価が暴落したソレイジア。

理知的判断では、VCが持ち株を全部処分し終わったのだから、もはや安値で売って利益を出せる者はいなくなり、株価が下がる理由などないのだが、なぜか売りが殺到した。

そして株価が下がれば、いくら将来有望でも、リスク回避のためにポジションを減らさざるを得ず、、売りが売りを呼ぶ展開になって、わずか3日で20%以上も株価が下がった。

翌週もこの流れが続き、株価はなかなか切り返さなかった。

著名な個人投資家が、株の譲渡はブロック取引で、高値で大量に買った投資家がいて、彼らはさらに高値になるとみているわけだから、それをすぐに安値で売るはずがないと指摘しても、パニック売り・狼狽売りが出て、こういうことになった。

新規上場会社の売買は、個人投資家中心になりがちなので、株価が大きく下がると、どうしてもパニック売りせざるを得ないのだ。

理知的判断より、パニック売りの方が強いんだね。

なので私もどこかで切り返すんじゃないかと、翌週、度々ナンピンしては損切りすると言う繰り返しだった。

そして暴落から7日目の金曜日の昼休みに、ようやく懸案だった販売承認ＩＲが出て、後場は寄らずのストップ高。

私の場合は、運良く前場で多めにナンピンしていたため、含み損が一気に含み益になった。

ロックアップ後の大幅下落は、下げ止まりを狙うのが吉かも知れないね。