ニアミス効果、ハズレを引いても、ゲームを続ける理由
更新日:
デイトレ依存症を知るための、ギャンブル依存症の話。
次は「ニアミス効果」と呼ばれる、「当たりに近いハズレ」の効果だ。
パチンコやパチスロでは、当たりの可能性がある時、「リーチ」というアクションが起こる。
リーチというのは、同じ数が2つ揃って、あと一つが揃うかどうかという状態で、「もしかして、当たり?」という風に、期待させる演出だ。
たとえば777が大当たりだとすると、77と言う風にまず2コが揃うわけだね。
そしてもう一つ7が出れば大当たり、これがリーチという状態だ。
シュルツのサルの実験や、ブライターのルーレットの実験では、青い印がモニターに映し出されたり、ラッキーなルーレットが映し出されたりという「イベント」が起こった瞬間に、脳が反応する。
これを「期待フェイズ」と呼ぶが、リーチアクションというのは、期待フェイズの始まり知らせる合図だ。
期待フェイズから結果が出るまでの間は、脳のVTA(快感回路)が活性化して興奮が続く。
そうして結果が出た時点では、当たりだったらVTAが活性化するが、ハズレが出てガッカリすると血流量が減る。
ただここで、もう一つ別の現象が起こる。
それが「あと少し」「惜しい負け」という「ニアミス」と呼ぶ状態だ。
777が当たりなら、776とか、778という感じだね。
このニアミスがあると、同じハズレでもそのあとの行動が変わるらしい。
というのもハズレを引いてガッカリすると、嫌になってゲームを止めようと思うのだが、ニアミスが適度に出ると、ゲームを続けるようになるのだ。
これを特に「ニアミス効果」と呼ぶ。
直接介入効果 自分で始めると止めにくくなる
ギャンブルやゲームに依存してしまうと、「止めたいと思っても止められなくなる」。
失敗したり損ばかりしているのに、一体なぜ止めることができないのか。
そこには「ニアミス効果」が働いている。
つまりハズレにも「全くのハズレ」と「惜しいハズレ」があって、惜しいハズレが適度にあると、止めにくくなるって事だ。
この惜しいハズレのことを「ニアミス」と呼ぶが、スロットマシンでは、ニアミスが出る頻度を約30%程度に設定すると、客離れを防げるらしい。
つまり10回に3回くらい惜しい状態がないと、飽きてゲームを止めちゃう人が多いって事だね。
そしてもう一つの原因が、「直接介入効果」だ。
たとえばスロットマシンのように、同じ数字が3つ揃うと大当たりで、報酬がもらえるというルールで実験をする。
このとき、被験者が何もせずに、数字が揃うのを眺めている場合と、被験者本人がアクションを起こして、スロットマシンを始動させたり、数字を止めたりする場合を比べる。
そうすると、ただ眺めている場合も、リーチがかかれば脳のVTAは興奮するし、大当たりになるとまた興奮する。
ここで被験者が何も介入しない場合、ニアミスはただのハズレの反応になる。
が、本人が介入した結果のニアミスは、「惜しい」と思って、もう一度挑戦する意欲が湧くらしい。
競馬なんかでも、考えに考えたあげく、ちょっとした違いで外すと、当然また次って事になるわな。
これが「直接介入効果」だ。
結果的に同じだけ報酬がもらえても、被験者本人が、ゲームに直接介入するかどうかで、ゲームに対する没入度や継続率が違うわけだな。
デイトレが止められなくなるのも、直接介入度が高いからって事か。