VCの大量売却 新規IPO ソレイジア・ファーマの場合
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ベンチャーキャピタル(VC)が株を大量放出する場合、株価が大きく下がることが多い。
これは新規上場銘柄(IPO)でもよくあることで、ロックアップ解除時期には注意が必要だ。
というのも新規上場銘柄の場合は、大株主のVCが既に大量の株を持っていて、ロックアップ解除期間が過ぎると、ドーッと大量の株を市場に出してくる。
もちろんVCもバカではないから、高値で売り抜けるため、株価を冷やさないように、一日当たり数十万株単位で株を少しずつ売却処分していく。
なのでロックアップ解除後の下落も、そんなに大きな物にはならない。
ところが大株主が株売却のウワサが流れ始めると、群集心理で大幅下落が起こったりする。
「やばい、大量の売りが降ってくるぞ」と、ホルダーまで株を売り始めるし、カラ売りを得意とする機関投資家もカラ売りを始めるから、始末に負えない。
そして売りが売りを呼ぶ展開になって、ドーンと株価が下がってしまうわけだ。
2017年3月下旬に新規上場したIPO銘柄のソレイジア・ファーマ(4597)も、ロックアップ解除の後に大量の株式が放出され、株価はドーンと下がってしまった一つだ。
ソレイジアの例から、ロックアップ解除後の株価の推移を見てみよう。
因みにソレイジアの上場は2017年3月24日で、ロックアップ解除は6月21日だ。
VCの株放出、ソレイジア・ファーマの場合(大量保有報告書より)
ロックアップ解除前の株価の推移・日足チャート(ソレイジア)
ソレイジア・ファーマ、VCの株売却と株価の推移
新規IPO ソレイジア・ファーマのVCの株売却の例。
株式の大量保有は、1%以上の変更があった場合は、5営業日以内にエディネット(EDINET)で発表しなければいけないことになっている。
なので提出された大量保有報告書から、VCの売却の経過の様子をみてみよう。
まず、ロックアップ解除は6月21日で、初日から市場で売却処分しているのが分かる。
解除初日は、900万株以上の出来高に対して、265万株の売却で、株価は18円安。
解除2日目は、550万株の出来高に対して、120万株の売却、株価は5円安。
翌週の27日には、965万株の出来高に対して、160万株の売却で、株価は18円高。
売買高に合わせて、VCが慎重に株を市場で処分していることが伺える内容だ。
ところがここで、大きなショックがあった。
それが6月28日の大引け後に出された「主要株主の異動の予定に関するお知らせ」というIRだ。
これはロックアップ解除で株を売却し始めた大株主のVCが、850万株を野村證券に譲渡するというニュースだった。
少しずつ市場処分していくはずのVCが、突然、証券会社に株を譲渡って、一体どういうことなのか?
このIRだけでは、VCが野村證券にいくらで譲渡したのかが分からないため、翌日のソレイジアの相場は大荒れで、株価はストップ高目前、72円も下がった。
翌日もさらに株価が32円下がってしまった。
一種のパニック状態で、狼狽売りと、それにつけ込んだカラ売りで、株価はドカッと下がった。
上場以来ソレイジアを売買してウオッチしていた者としては、一体何が起こったのか、皆目見当も付かなかった。
ただ取りあえず損切りして、手仕舞いすべきだというのだけは分かったくらいだ。
ベンチャーキャピタルの持ち株処分の様子と株価の推移(その1)
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 出来高 | VC市場処分数 |
2017年6月19日 | 519 | 556 | 501 | 539 | 9451900 | |
2017年6月20日 | 535 | 549 | 521 | 521 | 4245500 | |
2017年6月21日 | 515 | 518 | 498 | 503 | 9218500 | 265万株 |
2017年6月22日 | 506 | 507 | 496 | 498 | 5494000 | 120万株 |
2017年6月23日 | 498 | 501 | 476 | 483 | 5248600 | 13万株 |
2017年6月26日 | 478 | 492 | 475 | 480 | 2327800 | |
2017年6月27日 | 482 | 510 | 479 | 498 | 9653000 | 160万株 |
2017年6月28日 | 485 | 494 | 482 | 483 | 4074800 | 市場外取引 |
2017年6月29日 | 446 | 450 | 411 | 411 | 21833900 | 市場外取引で全株売却 |
2017年6月30日 | 403 | 428 | 371 | 379 | 18452500 |