VCが証券会社に株を大量に譲渡でパニック大暴落!
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ソレイジア・ファーマ(4597)は、2017年3月に新規上場したIPO銘柄だ。
バイオ関連銘柄であり、上場初日から大商いになった。
上場以来、公募価格の185円を一度も割り込むこともなく、一時は600円台まで株価が上昇した。
この頃は、全市場の売買代金ランキングでもトップ10に入ることも多く、売買代金が400億円を超える日も何日かあった。
これはトヨタやソニー並のことで、その後も株価は500円台でずっと推移していた。
ところがロックアップ解除日が近付くにつれて、売買高も減り、株価もジワジワと下がり始めた。
ロックアップというのは、上場前の大株主が、上場直後い株を大量に売って、株価を冷やすのを防ぐ取り決めだ。
上場したてのひ弱な銘柄に、大株主が大量に株を売り始めたら、株価がドーンと下がってしまい、公募に応募した投資家が大損しかねない。
それを防ぐために、一定期間、たとえば90日とか180日の間は、保有株を市場で売却できないというのが、ロックアップ条件だ。
このロックアップ期間が過ぎると、ロックアップ解除となって、大口の投資家も保有株を売却することが可能になる。
ロックアップ条件は、IPOの際の目論見書に記載されているため、いつ頃にどれくらいの株数が放出され始めるのかはハッキリしている。
そのため、ロックアップ解除日が近付くと、株価は再び動き始める。
新しいIRが出たり、決算報告が出たりして、新しい局面に入る。
ソレイジア・ファーマの場合は、ロックアップ解除と、申請中の医薬品・医療機器の販売承認期待が入り交じり始めた。
そうしてロックアップ解除日の6月21日が過ぎ、VCの利確売りが始まった。
ソレイジアの4分の1の約2,000万株を保有していたベンチャーキャピタルは、大量保有報告書によると、この間に500万株の株を市場で処分(売却)したのだが、株価はわずかに下がった程度だった。
ところがここで、会社側から大きなニュースが発表された。
それはソレイジアの大株主だったVCが、850万株を野村證券に譲渡するというIRだった(6月28日大引け後に発表)。
これって一体どういうことなのか? ということで、リスク回避的に株が売られ、6月29日にはストップ安目前まで売り込まれた。
VCの株放出、ソレイジア・ファーマの場合(変更報告書・短期大量譲渡より)
大口が買ったという事実があるのに暴落
ロックアップ解除になって、保有株を少しずつ市場処分していたVC。
それが突然、証券会社に残りの約1,500万株を譲渡(売却)するという企業側のIRで、狼狽売りが出てパニックになったソレイジア株。
ソレイジアの銘柄別掲示板では、別の大株主の伊藤忠商事も保有株を売ってくるんじゃないかと売り煽る輩が続出した。
その結果、株価は500円前後から400円を割る水準になり、20%を超える暴落に近い大幅下落となった。
しかしこの暴落には、謎が多かった。
なんで下がったのか、首をひねる投資家も多かった。
というのもVCが、何年も前から投資して保有していた株を、わざわざ安値で譲渡するはずはない。
株価も公募価格の3倍くらいの水準だし、保有株の3分の1の700万株も売却すれば、投資資金は回収できて利益が上がる計算になる。
なので慌ててたたき売る必要など、どこにもない。
実際このVCは、ロックアップ解除後に、市場内で約500万株を売却処分していたが、この間に株価は十数円程度しか動いてなかったし。
なのでこの譲渡は、ソレイジア株を大量に欲しがっている投資家が複数いて、野村證券が窓口になって「ブロック取引」が行われたと推測された。
ブロック取引というのは、大量の株を売却する際に、市場に出すと株価が暴落するので、市場外で譲渡すると言う取引だ。
ブロック取引では、相対で株価が決まるか、その日の終値で株が売買されたりする。
後日エディネットに出された大量保有報告書を見ると、6月28日の終値の483円で譲渡されているから、まさに28日の終値でのブロック取引だった。
そして売った人がいると言うことは、買った人がいると言うことで、一株当たり483円で、複数の投資家が1,500万株も買っているということだ。
483円で買っている以上、長期的にその何倍もの株価になると見込んでるはずだから、483円未満で、大量の売りが出るとは考えにくい。
理知的な判断としてはそうなるが、どういうわけだか株価の下落は翌週になっても止まらなかった。
大口が買ってるのに、なぜか個人が売ってるわけで、パニック売りは理知的な判断に勝るらしい。