新興企業にとってベンチャーキャピタルはパートナー
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第三者割当増資があると、多くの銘柄は値下がりすることが多い。
というのも増資というのは、株数が増えることを意味する。
しかし利益はすぐには増えないから、一株あたりの利益は薄まってしまう。
これが「株式の希薄化」だ。
大企業や、黒字で配当を出す企業は、こういう増資があると、配当も減ってしまうので、増資が発表されると、株価は1~2割下がる。
これは「投資利回り」で株の価値を計るからで、PER(1株あたり利益)の20倍が、株価を考える目安になる原因だ。
これは1株あたり利益の20年分が、その銘柄の妥当な株価だという考えから来る。
そのため、増資があって1株あたり利益が減ると、妥当な株価水準も下がってしまうわけだな。
一方、新興市場株や超低位株では、増資が発表されると、株価が上がることも多い。
というのも新興市場株や超低位株は、もともと赤字企業や配当ゼロの企業が多い。
そのため、つねに資金繰りが問題になるし、資金ショートで倒産したり、時価総額不足で上場廃止になることもある。
なので増資があると資金繰りが解決して、時価総額不足も解決できて、倒産危機や上場廃止が遠のくということで、株が買われて株価が上がったりする。
ところがこういう銘柄は赤字企業であるから、公募で増資の株を売り出すことは難しい。
そこで第三者割当増資の形で、ベンチャーキャピタルや証券会社に、新株予約権を与えて資金調達する。
ベンチャーキャピタルや証券会社は、新株予約権を権利行使して新株を買い、それを株式市場で売却して利益を得る。
増資企業から新株を仕入れて、それを市場で売却して資金を回収する。
で、また新株を仕入れて、市場で売却して資金回収をする。
この繰り返しで数百万株の新株が、株式市場に新しく出回るわけだ。
新株の処分方法 Oakキャピタル・ソフトフロントの場合。
新興企業や赤字企業の場合、新規事業に乗り出そうと思っても、資金がないため身動きが取れない。
そこで第三者割当増資を実施し、ベンチャーキャピタル(VC)や証券会社にそれを引き受けてもらうことで、資金調達を行って事業を続ける。
そのため第三者割当増資があると、何か新しいことが始まるらしい、と言う風に期待が集まって株価が上がる。
しかし増資を引き受けたVCが、新株をどんどん処分してくると、せっかく上がった株価が冷やされる。
なので彼らVCがどのように新株を処分するのかを知っておかないと、こういう銘柄を買うべきかどうか迷う。
ということで、2016年夏前の、Oakキャピタルの売却の例を参考にしてみる。
Oakキャピタルは、2016年2月末に、ソフトフロント株の新株予約権、700万株分を引き受けている。
大量保有報告書(Oakキャピタル/ソフトフロント H28.03.07)その1
さらに3月8日までに、約365万株の権利行使が行われ、約100万株が市場で売却された。
大量保有報告書(Oakキャピタル/ソフトフロント H28.03.15)その2
ところがここで、パタッと権利行使が止まる。
というのも実は、ソフトフロント側が、権利行使の3ヶ月凍結を依頼したらしい。
残りの新株、約600万株は、どこで出てくるのか?