結果が出るまでのわずかな時間が興奮を高める
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ケンブリッジ大学のシュルツらが行ったサルの実験では、結果が出るまでのわずかな時間に脳が興奮した。
シュルツの行った実験では、緑色が出ると報酬(シロップ)、赤色が出ると無報酬(シロップなし)、という連合学習をまずサルに覚えさせた。
そのあと、色と関係なくシロップを、出したり出さなかったりさせて、サルに「再学習」を行った。
最後に青いマークが出ると50%の確率で、甘いシロップが出てくるという仕組みで、サルの脳の快感領域の様子を調べた。
このとき、サルの脳のは、青いマークが出ると急激に興奮し、それが一旦収まったあと、マークが消え始めるともう一度、興奮がジワジワ上がっていった。
青いマークが出たところを「期待フェイズ」と呼ぶ。
そして青いマークが消え始めて、シロップが出るかでないか分かるところを、「結果フェイズ」と呼ぶことにする。
サルの脳の快感回路は、期待フェイズで興奮が瞬間的に高まり、結果フェイズに近づくにつれて、興奮がジワジワ高まったわけだ。
カジノのルーレットやスロットなどは、ゲームがスタートしたところから、結果が出るまで多少時間がかかる。
すぐに結果を出せよと思うこともあるが、期待フェイズから結果フェイズまでに、少し間を置くことによって、脳の興奮が持続して快感が長持ちするわけだな。
結果は同じでも、期待値によって快感は異なる。
シュルツのサルの実験を受けて、ブライターと言う人が、人間を対象にした実験を行った。
この実験では、結果が出るまでの期待と、結果が出たあとの脳の働きを、脳スキャンしてみた。
実験内容は、3種類のルーレットを作り、それぞれのルーレットを扇形に3等分して、報酬金額を書き入れた。
第一のルーレットは「アンラッキールーレット」で、
- マイナス6ドル
- マイナス1.5ドル
- プラスマイナスゼロ
第二のルーレットは、「並のルーレット」で
- プラス2.5ドル
- マイナス1.5ドル
- プラスマイナスゼロ
第三のルーレットは「ラッキールーレット」で、
- プラス10ドル
- プラス2.5ドルドル
- プラスマイナスゼロ
この3種類のルーレットをランダムに映しだし、その結果で実際に受け取る報酬が決まるというルールで、被験者の脳の働きを観察してみた。
実際には、3つのルーレット×3択で、9通りの出目を何セットか見せて脳の快感領域の反応を見た。
このとき、何が起こったかというと、期待フェイズでは、ラッキーなルーレットが出た時、脳の興奮が一番高かった。
また結果フェイズでは、ルーレットの選択肢のうち、一番良い結果が出たときに興奮が高まった。
注目すべき事は、同じ結果になっても、ルーレットによって脳の反応が異なったことだ。
ラッキーなルーレットでゼロが出たときは落胆し、アンラッキーなルーレットでゼロが出た時は、脳が興奮すると言うことが観察されたのだ。
結果自体はどちらもゼロで、1ドルも儲かっていないのだが、ラッキーなルーレットでは落胆し、アンラッキーなルーレットではハッピーになった。
つまり「期待値」と「結果」のギャップで、快感が大きさが決まると言うことらしい。