大口が買って、零細個人が売る
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デイトレで「フル板」と「歩み値」を見ていると、買っている主体と、売っている主体が分かるときがある。
誰が買ったり売ったりしているのかはもちろん分からないが、大口が買っているのか売っているのかは、「歩み値」の出来高を見ていると分かる。
一日に売買代金が数十億円を超えるような活況銘柄では、大きな売りや買いが交錯するので分かりにくいが、一日に10億円前後程度の売買であれば、分かる。
このとき、「大口が買って、零細個人が売る」というバランスだと、株価はどこかで上に跳ねる事が多い。
特に大口が分厚い売り注文を買い上がって、そのあとに個人が薄い買い板に売りを当てている場合、株価が上がる材料なり思惑が、何かあるかもしれない。
通常こういう場合、買い側は、時間をおいて買い上がってくる。
たとえば30分ごとに買い上がってくるとか、1時間毎に買い上がってくる。
おそらくどこかの投資ファンドか、運用資金が億を超えているような投資家だろうが、彼らは少しずつ少しずつ株を買い集める。
そうしているウチに、材料らしきモノが少しずつ一般のトレーダーに広まっていき、イナゴ投資家達も集まってくるわけだ。
前回紹介した、大幅上昇を予感させるチャートも、そのパターンだ。
大幅上昇を予感させる5分足チャートの例その2
※2667イメージワン 2018/04/25の5分足チャート
このチャートを見ると、陽線がたくさん出て株価が上がっているが、ときどき大きな陰線が出て、株価が押しさげられているのが見て取れる。
この場合、5分足チャートだけ見ると、一体どういうバランスになっているのかは、よく分からない。
個人が少しずつ買い上がって、大口がドカンと売ってきているのか、それとも大口が買い上がって、個人が売りを出しているのか。
しかし「歩み値」をさかのぼって調べて見ると、大口の動向が分かる。
この銘柄の場合は、大口が買い上がっては、個人の零細投資家が売っていた。
買い上がっているときの出来高が大きくて、下がっている時の出来高は小さかった。
ということは、大口さんだけが買い上がっていて、零細投資家はそれについて行っていない。
そのため、買い板がなかなか厚くならず、ちょっとした売りが出たら5円くらいドーンと下がる。
コレの繰り返しだったわけだ。
こういう場合、大口さんは、売りたい人が売り終わるまでノンビリ待って、売り板が並んでくると、また買い上がってきたりする。
そうして売り板が出なくなってきたら、今度は高値を買い上がってくるわけだ。
この日のこの銘柄の場合は、650円から660円の間で1時間半近く、これを繰り返していた。
で、10時半過ぎから買い優勢になって、今度は660円から670円の間のボックスになり、11時過ぎにまた大きな売りが出て株価が下げられたが、前引けはほぼ高値引けになった。
果たしてこの株価、650円方向に値を消すのか、それとも700円を目指して上がるのか?