材料無しで株価が上がる
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何の材料もでていないのに、急騰する銘柄もある。
どうしてこの株が買われているのだろう?と材料を探してみるが、見つからない。
こういう場合、大口投資家や仕手筋が、何かの思惑で株を買い上げている。
それに釣られて一般の個人投資家が売買に参加し、株価はさらに上がる。
通常は、材料がない場合は、急騰してもすぐに萎んでしまうものだ。
例えばこんな感じ。
材料不明のまま株価上昇する5分足チャートの例
本当に何も材料がない場合は、動意づく前の株価水準まで落ちたり、さらにマイナスになったりする。
買いが途絶えるので、高値づかみした人が損切りで投げ売りしてくるから、マイ転する。
けれど、このチャートのように、噴き上がった後も、プラス圏で推移して、大引けに向けてまた上昇し始める場合は、なにか思惑があることが多い。
その思惑の一つに「踏み上げ」がある。
カラ売りが膨らんでいる銘柄を買い上がることによって、カラ売りの買い戻しを誘発させようという企みだ。
貸借倍率と逆日歩で株価が上がる場合
貸借銘柄(たいしゃくめいがら)で、逆日歩(逆日歩)が付いている株が、突如急騰したりすることがある。
貸借銘柄というのは、簡単に言うと、カラ売りが出来る銘柄のことだ。
カラ売りは、株を借りて来てそれを売りに出すのだが、貸株が足りなくなると、逆日歩という特別品貸し料が課せられる。
普通は1株あたり5銭くらいだが、それが1円とか2円になると、毎日その分だけコストが嵩んでいく。
そこで貸借倍率(貸株不足の割合)が良化して買方有利になると、踏み上げを狙われる。
たとえば2019/03/14に、クボテック株が急騰して、ストップ高になった。
特に何か新しい材料がでたわけでもないが、11時過ぎから買いが入り始め、後場になると20分足らずでストップ高に貼り付いた。
材料が見当たらないのにストップ高 クボテック(7709)の場合
株タンのサイトでは、こんな風に書かれていた。
調べて見ると、この日の10時半に発表された逆日歩が、0.05円から2円になっていた。
どうやら他にめぼしい銘柄がないので、貸借良化したクボテック株を、いっちょ踏み上げてやれということらしい。
そういう仕手筋の動きに大口さんやデイトレーダーが呼応して、ストップ高に貼り付いたらしい。
時価総額50億円弱くらいの銘柄だと、こういう事は良く起こる。
もちろんここまで極端でなくても、貸借良化して逆日歩が満額付いた銘柄は、右肩上がりに買われていくことが多い。
イメージとしては、こんな感じでジワジワ踏み上げられていく。
ただし、貸借悪化して、翌日、逆日歩があまり付かなくなると、踏み上げの思惑は一気に冷めて、株価は暴落する。
こんな感じ。
逆日歩の思惑が外れ、ストップ高から急落する5分足チャートの例
クボテック、ストップ高翌日の5分足チャート。
逆日歩で踏み上げになっている銘柄は、その思惑がなくなったら、一気に大崩れすることが多い。
こういう風に、信用取引の機微で株価が上がる日もあるので、何も材料が見当たらない場合は、逆日歩や貸借倍率の情報も確認しておく必要がある。