治験失敗で、バイオ熱は一気に冷める
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バイオ関連株は、治験(ちけん:臨床試験)が進めば進むほど、リスクが高まる。
というのも第3相の臨床試験が良好であれば、次はもう製造販売申請して新薬販売というゴールへたどり着けるからだ。
そのため株価は2倍3倍に跳ね上がり、臨床試験の結果の速報を固唾をのんで待つ。
ところが臨床試験の結果がはかばかしくないとなると、一転して株価は暴落する。
2016年には、アキュセラインクが目の薬の開発に失敗し、7日連続ストップ安というヒドい状態に陥った。
このときは、IPO主幹事だったSBI証券が、ストップ安が続いている間にアキュセラ株を買い支えていたことが、大量保有報告書で判明したことで、ようやく下げ止まったが、それがなければ恐らく株価は10分の1以下になっていただろう。
アキュセラショックの日足チャート 2016年
サンバイオショック
一方、2019年の1月に起こったのがサンバイオ株の暴落で、5日連続ストップ安を記録した。
サンバイオが開発していた脳疾患の薬は、臨床試験の第2b相まで進んでいたのだが、それが不調だったと発表されたため、失望売りが殺到したのだ。
サンバイオの脳疾患薬、実は効果が全く認められなかったわけではない。
もともと2つの脳疾患に効果が期待されており、それぞれ別々に臨床試験を行っていた。
そしてまず「外傷性脳損傷」について、前年の11月に良好な結果が出たことが報告された。
これによって株価は急騰して、2倍になった。
ところが2ヶ月後の1月には、もう一つの効果の「慢性期脳梗塞」に関しては、不良だったと発表された。
そのため、膨らんでいた期待が一気に萎み、サンバイオ株は売りが売りを呼ぶ展開になった。
サンバイオショックの日足チャート
さすがにこれは売られすぎだという事で、下げ止まってからは大幅に反発したのだが、1万円を超えていた株価は、3,000円を割り込むところまで落ち込んだ。
サンバイオショックにより、新興市場のバイオ関連株は大幅下落して、東証マザーズの指数も大きく落ち込んだ。
2019年の3月下旬には、エーザイがアメリカの製薬会社と共同開発していたアルツハイマー型認知症の治療薬候補「アデュカヌマブ」の最終臨床試験(第3相)を中止することを発表。
新薬開発の最後の最後の段階まで進んでもなお、こうやって開発失敗するのが創薬の難しいところだね。