逆日歩10倍適用 踏み上げ相場が始まる?
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カラ売りが積み騰がった銘柄は、強い材料があると「踏み上げ」と呼ばれる現象が起こる。
踏み上げというのは、カラ売りしているトレーダーが、含み損に耐えかねて、高値で株を買い戻す事によって起こる。
というのもカラ売りは、急騰に非常に弱い。
株価が急騰すると、あっと言う間に含み損が膨らむ。
タダでさえ、逆日歩という特別料金の品貸し料が加算されてコストが嵩んでいる。
たとえば株価1,000円の銘柄を500株ほどカラ売りしたとすれば、金額的には50万円分のカラ売りだ。
そしてこの時、売りポジションを持っている人が大勢だった場合、貸株不足になって逆日歩が付く。
株価1,000円までの逆日歩の最高料率は1株あたり2円なので、5銭から2円までの範囲の逆日歩が付く。
逆日歩2円だと、一株一日あたり2円のコストを払わねばならないので、カラ売りを続けているだけで毎日2円×500株=1,000円の品貸し料を払うことになる。
さらに貸株不足が大きくなると、日証金から「貸株注意喚起」や「売り禁(貸株停止)」が発表される。
この時点で、逆日歩の最高料率が自動的に2倍になる。
貸株注意喚起が出たら、株価が1,000円弱で取引され続けていても、逆日歩は一日一株あたり4円になる。
500株だと、株価が変わらなくても、毎日2,000円ずつお金が減っていくわけだね。
さらに貸株不足が解消されず深刻になると「逆日歩10倍適用」が適用され、逆日歩の上限が10倍まで拡大される。
つまり元々の上限が一株あたり2円だったら、それが20円になっちゃうわけだね。
500株のカラ売りだと、毎日1万円ずつコストを支払うことになる。
逆日歩10倍適用になって最高料率が続くと、一週間でなんと7万円も飛んで行ってしまうわけだ。
(※逆日歩は休日でも加算されていく。)
逆日歩だけでも、こういう風にドンドン損が膨らんでいくわけだから、貸株注意喚起や売り禁が発表されたら、カラ売りの買い戻しや、買いヘッジの買いが入って株価が急騰する。
買いたい人が多いから株価が上がっているのに、そこにさらにカラ売りの買い戻しや買いヘッジの買いが加わるわけだから、みるみるうちに株価が上がっていく。
そうなるとカラ売りの買い戻しや買いヘッジをしていない売り師達は、みるみる含み損が膨らんでいく。
株価が5割くらい上がることはよくあるけど、カラ売りして5割上がったら、含み損は50%だ。
さらに株価が2倍になれば、カラ売り分の含み損は100%に膨らみ、投じた資金はゼロになってしまう。
カラ売りというのは、利益は取れても2割前後なのに、踏み上げられると5割くらい普通に損してしまう。
だから強い買いが入ると、慌てて買い埋めしたり、買い建てして買いヘッジするわけだ。
ただし逆日歩を材料にして急騰している銘柄は、貸株不足が緩和して逆日歩が下がると、そこでピークになって大幅下落が始まる。
だから売り禁になったばかりの株の高値づかみは、絶対に避けたい。
「売り禁に買い無し」なんていう株の格言もあるしね。
因みに、逆日歩10倍適用というのは、最高料率(逆日歩の上限)が10倍に拡大されるという意味なので、10倍適用後も逆日歩は増えたり減ったりする。
昨日まで1日20円だった逆日歩が、翌日には5銭に下がるなんて事もよくあるし、逆に5銭に下がっていた逆日歩が復活して10円くらいになったりもする。