3月下旬は、配当取りの買いが入る?
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「節分天井、彼岸底」(せつぶんてんじょう、ひがんぞこ)などとよく言われる。
2月初めの節分の頃が株価の高値で、3月20日頃の春のお彼岸の頃が株価の底になりやすい。
そういう意味の株の格言だが、別のことも言われる。
それが「3月は、配当取りで株価が上がる」というものだ。
日本の会計年度は、3月末締めになっている企業が多い。
国や地方自治体などの行政は、4月始まり3月末終わりの会計年度を使っているし、多くの企業も同じ会計年度を使っている。
そして一年間で稼いだ利益計算して、株主に「配当金」(はいとうきん)として分配するわけだ。
では企業はいつ、どのようにして、株主に配当金を支払うのか。
まず、いつと言うことだが、それは株主総会で配当金について承認が得られた後になる。
3月末締めの会社の場合、決算が出るのが4月下旬から5月にかけて。
そして年一回の株主総会が開かれるのが、6月下旬になる。
株主総会はいつ開かれる?
例年、株主総会の集中日というのがあって、6月の最終営業日の前日に総会が開かれることが多い。
法律上は、締め日から3ヶ月以内であれば、いつ株主総会を開いても良い事になっている。
ただ決算書を作成したり、自社の株主を特定したり、議案を決めたり、案内を郵送するためには、日数が必要になってくる。
決算結果を載せたパンフレットは、決算発表後でないと作れないので、5月下旬からパンフレットを作り始め、それを株主に向けて郵送する。
と同時に、株主総会招集の案内や、議案に賛成するかどうかの委任状なども、送らねばならない。
そうするとどうしても、同じ日時に株主総会が集中してしまうわけだ。
株主は、年度末に株を持っている人
それは良いとして、株主ってどうやって決めるのか。
私のように毎日のように株を売買していると、特定の企業の株主であるとは言えない。
それは多くの投資家も同じだろう。
そこで便宜上、年度末の締め日に株を保有している人を、株主とする事になっている。
3月末締めの会計年度を使っている企業なら、3月31時点で株式を保有している人ってことになる。
ただしこれは株を買って31日をまたいで持っておれば良いというわけではない。
株式取引には受渡日(うけわたしび)というのがあって、約定した数日後に株式と代金の交換を行う。
受渡日が4営業日後であれば、月末の最終営業日の4日前に株を買って、翌営業日に持ち越せば良い。
月内の最終営業日が30日であれば、27日までに買って持ち越す。
そして受渡日が翌月になるなら、月内でその株を売ってしまっても株主として登録される。
ということで、3月下旬には、高配当の銘柄に人気が集まりやすいと言うことが言われるが、実際はそうでもない。
なんたって、彼岸底っていうくらいで、3月下旬は株価が安い時期だしね。
配当取りのために株を買ったら、高値から突き落とされて含み損になることもよくある。
配当狙いの投資家は、そんなギリギリに株を買わず、もう少し前の安い時分に株を手に入れていて、駆け込み買い付けなどしないものなのだ。